久々に、香りと直結した思い出シリーズ(笑)
今、まさに金木犀が甘い香りを漂わせ、存在感をアピールしている☆
この花の香りを嫌いな人はあまりいないんじゃないかな(^_-)-☆
私も大好きだけれど、でもちょっと悲しい思い出と直結している。。
今思い出しても涙が出そうで、私の人生において10本の指に入るくらい悲しい出来事だった気がする。。
あれは、私が大学時代を過ごした街での話
堀内孝雄の『君の瞳は10000ボルト』が流行っていた時なので、私が大学2年か、3年の秋だったか
当時私の住んでいたアパートの周辺は坂が多く、家がびっしり建っていた
そしてマイホームを持つことができた勝ち組のステータスみたいに、狭い庭にはいろんな木々や花が植えられていた
秋にはそんな家々に植えられた金木犀が香りを楽しませてくれた
そして、大学に通う時も、他の用事で出かける時も、私はせっせとその坂道を歩いた
携帯電話もなければ、もちろん部屋に電話なんかもない時代、実家との連絡はもっぱら公衆電話
でも、苦学生にはそんな電話代ももったいなくて、家から電話を掛け直してもらうという手段が一番だった
それには電話番号がわかる電話があることが必須
私はアパートの近くの坂を上ったところにあった1軒のタバコ屋さん?駄菓子屋さんだったか?にその電話を見つけた
たぶん30円くらいのお金を払って、まずは実家に電話をして、折り返しその電話(電話番号は知らせ済み)にかけてもらう
そうするとお金の心配なく、話ができるのだ
その日も、いつもと同じようにお金を電話の横に置き、家から電話を折り返してもらい会話をした
店番は顔なじみになったおじさん
会話が終わって受話器を戻した
そして私は。。
無意識に、本当に無意識に電話の横に置いた30円を掴み取って自分の財布に戻そうとした
勘違いしたのか、電話の後でぼぉっ〜としていたのか。。
その時、優しかったおじさんの形相が変わった!
『お嬢さん、そういうの 泥棒 って言うんだよ!』
『えっ!? あ〜!! ごめんなさい! ついうっかり。。』
私は慌てて小銭を返した。。
『まったく油断も隙もないね。。 いい子だと思ってたんだけどね。。』
『違います! そういうつもりじゃないんです!』
『言い訳はいいよ』
そういっておじさんは小銭を持って奥に入っていってしまった。。
私は泣きながらアパートに帰った
金木犀の香りがぶんぶんする坂道を。。
(昔のことをよく覚えていない私だけど、香りに繋がる思い出は別なのだ)
違う! 違う! 違う!
私は泥棒なんかじゃない!!
そんなつもりじゃなかった!!
でも、小銭を財布に戻そうとしてしまったことは紛れもない事実
あの時、おじさんの剣幕に圧倒されて、上手く言葉を返せなかった自分も情けない。。
それにおじさんもおじさんだ!
二十歳やそこらの娘に、泥棒はないと思う。。
普通、30円盗む?
小学生じゃないんだよ?
『それ、電話代だよね?』 『あ!ごめんなさい! 何やってんだろ私、勘違いしちゃって』
でいいじゃない!
そんなやり取りができていたら。。
事実、その日のことは私の中で黒歴史になってしまった
言うまでもなく、その後、そのお店には行っていない
何十年も後、Googleストリートビューで昔住んでいた辺りを検索してみた
記憶は曖昧で、お店を探すことはできなかった
世の中、『そんなつもりじゃなかった』ってことが沢山あると思う
ちょっとしたことから大変なことまで。。
でも、口に出してしまった言葉や、実際に行動してしまったことは、『そんなつもりじゃなかった』では済まされないことがあるのだと、強く悟った二十歳の秋
金木犀とは全然関係なかったかも(笑)