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ニセアカシア(イメージお借りしました)
ここ数年、昔の記憶が驚くほど曖昧になってきてしまった
特に、小学校の頃の思い出なんて、断片的であり、どれとどれがつながるのか
定かでない
哀しい現実かな
でも、不思議なもので、香りとともに鮮明に蘇る記憶がある
ここでも何度かふれているけど、嗅覚は記憶を司る中枢と直結している(らしい)
私の父は小学校の教員をしていた
それは私が小学校2〜3年の頃のことだと思うのだけど、
父は山の中の小さな小学校に勤務していた
当時はまだ、宿直とか、休みの日の日直とかがあって、
教職員が順番に行っていたらしい
今では公私混同、ありえないことだけど、
私は何回か父に一緒に日直に連れて行ってもらったものだ
母にお昼のおにぎりを作ってもらい、父のバイクの後ろに乗って
自分の学校じゃない学校に行くのが楽しみで仕方なかった
そのバイク、後にかなり苦労して父が自動車の免許を取るまで大活躍した物
原付より少し大きくて、二人乗り可のバイクだった
父の通勤の足だったのだけど、仕事帰りに何度か居眠りして
田んぼに突っ込んだっていうエピソードも(笑)
父の背中にしっかりしがみついて、バイクで山道を登る
季節はたぶん初夏
むせ返るような強い良い香りがしていた
「この匂い、何?」
「ああ、これはニセアカシアの花の匂いだよ あの木の白い花」
見上げた先には、大きな木が何本かあり、藤のような白い花を咲かせていた
父はバイクを停め、たわわに白い花の房をつけたニセアカシアの枝を引っ張り
その花をいく房か摘み取った
「この花は食べられるんだよ 天ぷらにしたら美味いぞ」
そのあと、学校でどうやって時間を過ごしたのかよく覚えていない
ただ、早く家に帰って白い花の天ぷらを食べたい
そればかり考えていたのだと思う
やはり、私の食いしん坊は筋金入りだ
夜、母がニセアカシアの花の天ぷらを作ってくれた
甘い香りは天ぷらにしても消えず、でも味はない
これが美味しいのか否かは、子供だった私にはよくわからなかった
40年以上時が経ち、ニセアカシアの木の近くを通って懐かしい香りに遭遇したとき、
一気にあの時の記憶が蘇ってきた!
その後、ついぞニセアカシアの天ぷらを食べる機会に恵まれなかったけど
今、ここで食べなきゃ!っていう変な使命感に燃えている私(笑)
ちなみに、なぜニセアカシアの「ニセ」がついたかというと
日本に入ってきたとき、「アカシア」と呼ばれていて、
その後違うとわかったからなんだって!
なんか。。。 気の毒(^_^;)